鍛造機械とは?

ものづくりの世界では、金属の強度や耐久性を高めるためにさまざまな技術が使われています。その中でも「鍛造」は、強靭で精密な部品を生み出すための欠かせない加工方法のひとつです。 特に、自動車や航空機、建設機械、さらには医療機器に至るまで、私たちの身の回りの多くの製品で鍛造技術が使用されています。しかし、鍛造を行うためには「鍛造機械」という特殊な設備が不可欠です。

今回は鍛造機械の基本的な仕組みから、どのような特徴を持ち、どんな場面で必要とされるのか、さらにはそのメリット・デメリットについても詳しく解説していきます。金属加工における最前線を支えるこの機械について、より深く理解するための参考になれば幸いです。

1.鍛造機械とは

鍛造機械とは、金属に圧力を加えることで、形状を成形し、強度を向上させるための機械です。主に高温状態の金属を加工する「熱間鍛造」と、常温または比較的低温で加工する「冷間鍛造」に分類されます。鍛造は、金属内部の結晶構造を均一にし、強度や靭性(じんせい)を高めるため、自動車部品や航空機部品、産業機械部品など、強度が求められる製品に広く利用されています。
※靭性:外部からの圧力に対して耐えられる抵抗の程度やねばり強さ

複雑な形状も作り出すことが可能で、高い精度が求められる部品でも対応できます。
加えて、鋳造や切削加工に比べて、材料の無駄が少なく、さらに金属の物理的特性を向上させるため、高強度部品の製造に適しています。
そのため、航空機、自動車、建設機械、工具、さらには医療機器など、さまざまな産業で使用されています。
鍛造機械は、大きく分けてハンマー型、プレス型などがあり、それぞれに特長や適した用途があります。

鍛造機械で医療現場・建設現場など様々な産業で使う高強度部品の製造

【ハンマー型鍛造機(ハンマープレス)】

ハンマー型鍛造機は、金属素材に対して重たいラム(打撃槌)を高所から連続(多工程)で打ち付けることによって、強力な衝撃力を与えながら成形させるタイプの機械です。主に「ドロップハンマー」や「アップセットハンマー」などの名称で呼ばれることが多く、金属に対して瞬間的に高エネルギーの打撃を与えます。
ハンマー型鍛造機は、ハンマーの細かい制御が難しく、精度の高い鍛造には不向きですが、瞬間的に大きな圧力を与えることができるため、生産量が少なく、比較的大きな製品の鍛造に適しています。

【プレス型鍛造機(プレス機)】

プレス型鍛造機は、金属に対して比較的長い時間圧力をかけることで、変形させるタイプの機械です。プレス機は、連続的に圧力をかけて金属を成形するため、衝撃的な打撃ではなく、ゆっくりとした圧力で加工します。
形状が複雑な部品や高い精度が求められる部品の加工にも対応できるため、自動車部品や航空機部品などの高精度な加工が可能です。
1度の圧力(1工程)で繰り返し効率の良い成形が可能なため、自動化や大量生産に適しています。

2.鍛造機械はどのような用途に向いているか

鍛造機械は金属の強度や精度が求められる場面で不可欠であり、以下のような業界などで使用されています。

自動車の部品の写真

【自動車産業】

エンジン部品、クランクシャフト、ギア、ホイールなど、車両の基本構造を支える部品の多くは鍛造によって作られています。これらの部品は高強度かつ軽量でなければならず、鍛造技術が適しています。

飛行機の写真

【航空宇宙産業】

航空機の構造部品やエンジン部品は、高耐久性と軽量化が求められるため、鍛造機械が広く使われています。

工具を使用している様子

【工具や建築資材】

ハンマー、スパナ、ドライバーなどの工具や、建築用の耐久性のある鉄骨部材の製造にも鍛造が活用されています。これにより、長期間使用可能な高品質の製品が作られます

風力発電のタービンブレードの写真

【電力、エネルギー産業】

風力発電や火力発電のタービンブレード、発電機のシャフト部品など、高い耐久性が必要な部品にも鍛造技術が使われています。

3.鍛造機械のメリット

鍛造機械を使用することによって、以下のような様々なメリットがあります。

製品強度の向上
鍛造によって金属内部の結晶構造が整うため、切削加工や鋳造品と比較して大幅に強度が向上します。これにより、重量を軽減しながらも高い耐久性を持つ部品を製造できます。
材料の無駄が少ない
鍛造では素材を切り出すのではなく、押しつぶすことで形状を作ります。そのため、効率的に材料を使用でき、無駄を減らすことができます。
大量生産に適している
鍛造機械は一度に大量の製品を効率的に加工できるため、大量生産に適しています。特に、自動車産業や家電産業のように、多品種大量生産が求められる分野で特徴を発揮します。

4.鍛造機械のデメリット

様々なメリットがある一方で、鍛造機械には以下のようないくつかの課題も発生します。

初期投資が高額
鍛造機械は高度な技術を用いた装置であるため、購入時のコストが高額になります。特に、大型の油圧プレスや高精度のスクリュープレスなどは数億円以上する場合もあります。
※油圧プレス:油圧による高い圧力を利用して金属を成形する
※スクリュープレス:ねじの力を利用して金属を成形する
設置スペースが必要
鍛造機械は重量があり、大型のものになると専用の基礎工事が必要です。また、作業スペースや保守点検スペースも確保する必要があります。
専門知識が求められる
機械の操作やメンテナンスには専門的な知識が必要です。そのため、熟練した技術者を確保することが課題となる場合があります。

5.鍛造機械の大きさ

小型の手動鍛造プレスは、高さ1~2メートル程度で、中小企業でも導入しやすいサイズですが、大型の油圧プレスや自動化された鍛造ラインでは、10メートル以上の高さや数百トンの重量を持つものもあります。
製造する部品の大きさや精度に応じて選ばれるため、自動車の部品を鍛造する場合は、中型から大型のプレス機が多く使用され、航空機のエンジン部品などは、さらに大型の機械で加工されます。

6.鍛造機械の主な取り扱いメーカー

【住友重機械工業】

重機やプレス機械の分野で長い歴史がある企業です。鍛造機械では、大型の鍛造プレスや多機能型のプレスを提供しており、精密な金属加工が可能な設備を提供しています。

【三菱重工業】

重工業における設備や機械の開発において世界的に評価されている企業です。鍛造機械では、特に大型機や高精度な成形機を提供しています。

【アイダエンジニアリング】

精密なプレス機械を多く提供しています。自動車部品の製造ラインで広く使用されており、特に高効率で省エネルギーな設備を得意としています。

7.鍛造機械の主な品番

【住友重機械工業】

FPXシリーズ:高精度・高生産性を追求した鍛造プレス

【三菱重工業】

MPX-3000型鍛造プレス:大型の鍛造プレス機で、精密な金属加工を行うために設計された高圧力のプレス機

【アイダエンジニアリング】

K1-Eシリーズ:冷間鍛造と幅広いプレス加工に対応可能

まとめ

鍛造機械は、高精度かつ高強度の製品を製造するために不可欠な存在です。自動車、航空機、重工業の分野で特に重要な役割を果たし、精度と強度が求められる部品の製造に広く活用されています。これらの機械は、金属の種類や成形方法に応じて多様なタイプが存在し、目的に応じた最適な選択が必要です。鍛造技術を理解することで、ものづくりの現場でどのように高品質な部品が作られているのかを知ることができ、金属加工の深い部分を学ぶ良い機会になるのではないでしょうか。

鍛造機械もそれ以外も、これらの機械どこの機械買取会社さんより高価買取しています!!古くても大丈夫です。
買取品目はこちらからご確認ください。
※機械のメンテナンスは弊社では行っておりません。

買取品目一覧

皆様の大切な機械の高価買取を実現しています。

持込歓迎!!いつでもお待ちしております。

持込場所
〒579-0814 大阪府東大阪市中石切町5丁目13-55

ページトップへ戻る